炎上が怖くて発信できない経営者へ|炎上リスクは避けられないと考えた理由

ゼロにはできない前提で、下げ方を3つに絞る

本記事は、ノルツ株式会社 代表取締役 原本昌悟の実体験と、実際に自社サイトでとっている運用方針に基づいて書いています。一般論としての炎上対策ではなく、私が何をどう判断しているかをそのまま書きます。

この記事の要点

炎上リスクはゼロにできません。事業活動をしていれば、どこかで利害がぶつかり敵が生まれる可能性があり、私はそれを避けられないものとして払うものだと考えています。その上で下げ方はあります。コメント機能を持たないホームページでの記事公開、YMYL領域に踏み込まないこと、体験と意見の形で語ること。この3点です。

公開日 2026-09-27/更新日 2026-10-01

ノートパソコンの画面に向かって記事の公開設定を確認している日本人の経営者

炎上が怖くて発信できないとき、炎上リスクはゼロにできるのか?

ゼロにはできません。私は「炎上リスクについては、常に発生する可能性はあると思った方がいい」と考えています。発信するかしないかに関係なく、事業活動そのものにリスクがついてくるからです。

情報発信をしたいけれど炎上が怖い、という理由で踏み出せない人がいます。相談の入口としては非常によくわかる話で、私も「炎上は起きません」と言うつもりはまったくありません。

炎上リスクについては、常に発生する可能性はあると思った方がいいと思います。

これが私の出発点です。リスクをゼロにする方法を探している限り、発信は始まりません。ゼロにはならないという前提を先に受け入れて、そのうえで「どこまで下げられるか」に話を移したほうが、意思決定は早くなります。

結局のところ、炎上リスクっておそらく避けられないものだと考えています。

避けられないのであれば、それは事業活動に伴うコストとして払うものだと私は捉えています。家賃や広告費と同じように、活動の副作用として最初から見込んでおく。そう考えると、「怖いから発信しない」という判断が、実は何も回避していないことが見えてきます。

情報発信をしなければ炎上は避けられるのか?

避けられません。ホームページすら持たず発信を一切していない会社でも、会社名と一緒に「評判」「詐欺」といった検索候補(サジェスト)が生まれてしまえば、掲示板などに書かれた情報によって炎上する可能性があります。発信しないことは、リスク回避になりません。

ここが一番誤解されやすい部分だと思っています。「出さなければ叩かれない」という感覚は自然ですが、実態としては、自分が何も出していない状態でも、自分の会社名を含む検索の並びは勝手にできあがっていきます。

会社名を検索したときに、うしろに「評判」「詐欺」といった語が並ぶ。その検索の先にあるのが、掲示板や口コミサイトのような、自社が管理していない場所だけになる。この状態は、発信していないから安全なのではなく、自社の言葉が一つも置かれていないという意味で、むしろ無防備です。

整理すると、経営者が取り得る立場は次の2つしかありません。

  • 自分の言葉を置かないまま、他人が書いたものだけが検索される状態を受け入れる
  • 自分の言葉を置いて、そのうえで炎上リスクを下げる設計をする

前者は「リスクを取らない選択」に見えますが、リスクの管理権を手放しているだけです。私は後者を選んでいます。

なぜ「敵が一人もいない経営者」はほとんどいないのか?

セミナー登壇、展示会出展、営業活動といった事業活動を頑張るほど、どこかで誰かの利害とぶつかります。私は、敵が一人もいないという人は、あまり活動していないのではないかと思えてしまうくらいだと考えています。

私の実感として、これは発信の話に限りません。事業活動を前に進めるほど、競合と枠を取り合い、既存のやり方を否定し、誰かの機会を奪う場面が出てきます。

事業活動を行っていて敵が一人もいないですっていう人は、あんまり活動をしていないんじゃないかなというふうに思えてしまうぐらい。

つまり、敵ができるのは活動している証拠でもある、という捉え方です。セミナーに登壇すれば、同じテーマで登壇している人と比較されます。展示会に出れば、隣のブースと来場者を分け合います。営業に行けば、すでに入っている業者と入れ替わる話になります。

この構造を踏まえると、「炎上リスクがない状態」とは、何もしていない状態とほとんど同義になります。だから私は、炎上リスクを消そうとするのではなく、活動量を落とさずにリスクを下げる方法を考える、という順番にしています。

SNSやYouTubeと、ホームページでの記事公開では、炎上リスクはどう違うのか?

大きな違いはコメント欄があるかどうかです。SNSやYouTubeにはコメント欄があり、コンテンツ自体に問題がなくても、言い回しなど些細な点をきっかけに炎上するケースがあります。ホームページ上での記事公開は、コメント機能をわざわざつけなくてよいという性質があります。

私は、同じ内容を出すのであれば、まずホームページ上の記事という形式を選んでいます。理由は、炎上の起点になりやすい場所を構造的に持たないからです。

形式コメント欄炎上の起点になりやすい点
SNSの投稿標準であり短文のため言い回しが強く見える。引用や返信で拡散しながら燃える
動画(YouTube等)標準であり内容に問題がなくても、コメント欄での評価が場の空気を作る
ホームページの記事つけない選択ができる書き込み先がないため、コメント欄由来の炎上は起きにくい

ホームページ上で記事を公開するということは、普通にウェブページとして公開していくことになるので、そこにコメント機能ってわざわざつけないでもいいんですね。

誤解のないように書いておくと、これは「SNSをやるべきではない」という話ではありません。私の場合は、記事という形で自社サイトに一次情報を置き、その紹介としてSNSを使う、という順番にしています。燃えやすい構造の場所に本体を置かない、という設計です。

静かなオフィスで手書きのメモに書く内容の方針を整理している日本人

コメント機能をつけないだけで、炎上しづらくなるのか?

コメント欄由来の炎上については、書き込む場所自体がなくなるため起きにくくなります。私は自社サイトの記事にコメント機能をつけない運用をしています。ただし、これはコメント欄経由のリスクを下げる手段であり、炎上全体がなくなるわけではありません。

コメント機能をつけなければ、そこにコメントを書き込めないので、炎上はしづらいという性質はあるんじゃないかなと思います。

実務上、注意点が一つあります。WordPressでサイトを作る場合、私の記憶ではコメント機能はデフォルトでオンになっていたと思います。つまり、何も設定しないまま公開すると、意図せずコメント欄が開いた状態になります。コメント欄を持たない運用にしたいのであれば、意図的にオフにする作業が必要です。

ここは各ソフトウェアの仕様や既定値が変わりうる部分です。2026年9月時点で私が把握している範囲として書いていますので、実際の初期設定は最新の公式情報や管理画面の設定項目で確認してください。

確認する順番としては、次のようになります。

  1. 記事を公開する前に、コメント欄が開いているかどうかを設定画面で確認する
  2. コメントを受け付けない方針なら、新規投稿の既定値をオフにする
  3. すでに公開済みの記事についても、コメントが開いていないかを見る
  4. その上で、記事の中身(何を書くか)のリスクを別軸で考える

4番目が重要です。コメント欄を閉じても、記事の内容そのものが原因で炎上することはあります。だから、内容側のルールが必要になります。

YMYLとは何で、なぜ経営者はその領域に踏み込まない方がいいのか?

YMYLは、医療・健康・お金など、人の人生を大きく左右するようなコンテンツを指す考え方です。原則として専門家が発信すべき領域とされており、専門性のない発信者が誤った情報を出すリスクが大きいため、私はこの領域には踏み込まない方針をとっています。

YMYLというのは、医療だったり健康だったりお金だったりとか、いろんなそういう人の人生を大きく左右するようなコンテンツという意味合いになります。

背景として、以前、医学・薬関係、医療系の情報ポータルサイトで根拠のない情報が多数掲載されていたことがニュースになった件があります。サイト名や時期については私の記憶が定かではないので断定しませんが、その一連の事案を受けてGoogleから「YMYL」という基準が出された、という流れだと理解しています。

この考え方が経営者にとって実務的に意味を持つのは、「有名になった記事に間違いがあると、それが原因で炎上することもある」という点です。読まれるほど、間違いは見つかります。そして医療やお金の分野では、間違いの影響が読者の人生に直接届いてしまいます。

なので私は、自分の専門性が高い分野に絞る、という単純なルールを置いています。私の場合はホームページ制作とWeb運用です。健康法や投資判断について語れば読者は増えるかもしれませんが、正確性を保証できない分野に出ていくのは、リスクの取り方として合っていないと考えています。

なお、評価の考え方やガイドラインの表現は更新されます。この記事は2026年9月時点の理解として書いていますので、詳細は検索エンジン提供元の公式情報を確認してください。医療・健康・金融など個別分野の判断が必要な場合は、その分野の専門家に確認してください。

炎上しにくい内容とは、具体的に何を書くことなのか?

「情報として正しいかどうか」を争う書き方をやめて、「自分はこう思った」「自分はこういう体験をした」という体験ベース・意見ベースで書くことです。体験と意見であれば嘘にはならないため、情報の正誤という観点での炎上リスクを避けられます。

情報として正しいかどうかというよりは、自分はこう思ったとか、自分はこういう体験をしたことがあるという、そこに関しては嘘はない話になりますので、あくまで体験ベースで情報を出していく。

あくまで意見としてのコンテンツを出していくというのが、一番安全なのかなというふうには思っております。

同じテーマでも、書き方によってリスクの性質は変わります。

書き方例リスク
一般則として断定する「この方法なら必ずうまくいく」反例が出た時点で間違いになる
他人の情報をまとめる「一般的には○○と言われている」出典が誤っていれば自分の誤りになる
体験として書く「私の案件ではこうなった」体験は事実なので、正誤で争いにならない
意見として書く「私はこう考えている」意見は意見として読まれる

この考え方は、経営者にとって都合がいいはずです。現場で実際に見たこと、言われたこと、失敗したこと。それは他の誰も持っていない一次情報であり、しかも正しさを証明する必要がない。炎上リスクを下げる方向と、他社と被らない内容を出す方向が、同じところを向いています。

炎上が怖い経営者は、どこから発信を始めればよいのか?

私が自社でとっている順番は、コメント欄を持たない形式を選び、YMYL領域を外し、体験と意見の形で書く、という3段階です。この3つを先に決めてしまえば、書くたびに炎上リスクを判断し直す必要がなくなります。

手順として書くと、次のようになります。

  1. 置き場所を決める:本体はコメント機能を持たない自社サイトの記事にする。SNSは記事の紹介役に回す
  2. コメント欄の既定値を確認する:意図せず開いていないかを設定画面で確認し、閉じる
  3. 触らない領域を決める:医療・健康・お金など、人の人生を大きく左右する分野は書かない
  4. 書き方を体験と意見に固定する:「一般的に正しいこと」ではなく「自分がやったこと・思ったこと」を書く
  5. それでも残るリスクは払うものとして受け入れる:活動しているから敵ができる、と捉える

5番目を含めているのは、1〜4をやってもゼロにはならないからです。ゼロにならないことを事前に認めておくと、いざ何か言われたときに慌てなくなります。

私が運営している「もしデジ」は、経営者が月に一度話した内容を記事にして自社サイトに積み上げていく仕組みですが、扱うのは現場の体験と意見です。YMYLに該当する内容は作らない方針をとっています。炎上が怖いから発信しない、という選択を取り続けても、会社名に紐づく検索は勝手に育っていきます。だとすれば、自分の言葉を置いておくほうが、まだ手元にコントロールが残ると私は考えています。

よくある質問

情報発信をしなければ炎上は防げますか?

防げません。ホームページを持たず発信を一切していない場合でも、会社名と一緒に「評判」「詐欺」といった検索候補(サジェスト)が生まれれば、掲示板などに書かれた情報によって炎上する可能性があります。発信しないことはリスク回避になりません。

コメント機能をオフにすれば炎上しませんか?

コメント欄に書き込まれることによる炎上は起きにくくなりますが、記事の内容自体が原因で炎上することはあります。特に読まれる記事に誤りがあると、それが炎上の原因になります。形式の対策と内容の対策は別に考える必要があります。

YMYLとは何ですか?

医療・健康・お金など、人の人生を大きく左右するようなコンテンツを指す考え方です。原則として専門家が発信すべき領域とされています。評価の考え方は更新されるため、2026年9月時点の理解として捉え、詳細は検索エンジン提供元の公式情報を確認してください。

体験ベースで書くと、内容が薄くなりませんか?

経営者の場合は逆になりやすいと考えています。現場で実際に見たこと、やってみて失敗したことは他社が持っていない一次情報で、しかも正しさを証明する必要がありません。炎上リスクを下げる方向と、他社と内容が被らない方向が一致します。

WordPressでサイトを作るとき、コメント欄は最初から開いていますか?

私の記憶ではデフォルトでオンになっていたと思います。ただし既定値は変わりうるため、2026年9月時点の理解として捉え、実際の初期設定は管理画面の設定項目や最新の公式情報で確認してください。

参考・出典

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