この記事の要点
税理士のホームページに何を載せるかの結論は、プロフィール・仕事の領域・対象顧客層・得意分野の4項目です。そのうえで、読み手が税務・財務・会計・経理の区別をつけていない前提に立ち、専門領域の名前ではなく読み手の状況で入口を分ける。さらに毎年度の税制改正を噛み砕いて出し続ける。この順番で組み直すのが現実的だと考えています。
公開日 2026-09-30/更新日 2026-10-01
税理士のホームページに載せたい項目は何ですか?
プロフィール、仕事の領域、対象顧客層、得意分野の4つが大事だと考えています。この4つが揃うと、読み手は「自分に該当するか」と「誰に頼むことになるのか」を同じページで判断できます。デザインを作り直す前に、この4項目の有無を確認するほうが先だと考えています。
税理士のサイトで大事だと考えている項目です。それぞれ、読み手のどの判断に関わるのかがはっきりしています。
| 項目 | 書く内容 | 読み手のどの判断に関わるか |
|---|---|---|
| プロフィール | 顔写真、経歴、事業を立ち上げた思いや背景 | 誰に頼むことになるのかが分かる |
| 仕事の領域 | 顧問中心か、事務作業も受けるか | どこまで頼めるのかが分かる |
| 対象顧客層 | 起業予定者・小規模事業者・中小企業・大手のどこを見ているか | 自分の規模でも相談していいかが分かる |
| 得意分野 | どの分野に強いのか | 他の事務所と比べる基準ができる |
プロフィールは経歴の羅列で止めない
顔写真と経歴に加えて、事業を立ち上げた思いや背景まで載せると、人物像が立ちます。専門職への依頼は、最終的に人を選ぶ判断になると考えています。誰が担当するのか見えないページと、背景まで読めるページでは、同じ内容でも受け取られ方が変わります。
4項目のうち、いま自分のサイトに無いものから書き始めるのが取りかかりやすいと考えています。
経営者は税務・財務・会計・経理の違いが分かっていないのですか?
事業をスタートしたばかりの経営者では、税務・財務・会計・経理の区別すらついていないことがあります。知識が足りないのではなく、まだその区別が必要な場面に出会っていないだけだと考えています。そのため、専門領域の名前で分類されたメニューページは、選ぶ材料になりにくくなります。
創業して間もない経営者から相談を受ける場面では、これらの言葉がひとまとまりの「お金まわりのこと」として扱われています。税理士の側からすれば別々の領域でも、読み手の頭の中では分かれていません。専門用語だらけのホームページは、経営者には一切伝わらない、というのはここに理由があります。
用語で分けるのではなく、状況で分ける
読み手が自分で判断できるのは、用語ではなく自分の状況です。掲載の切り口を専門領域の名前から読み手の状況に置き換えると、中身は同じでも選べるページになると考えています。
| ありがちな書き方 | 読み手の状況に合わせた書き方 |
|---|---|
| 専門領域の名前だけを並べたサービス一覧 | これから起業する人/始めて1年目の人/従業員を雇い始めた人、のように状況で並べる |
| 業務名だけを書いて範囲を示さない | 毎月どんなやりとりが発生するのかを具体的に書く |
| 資格名・所属の列挙で信頼を示す | 顔写真・経歴・事業を立ち上げた背景で人物を示す |
用語をゼロにする必要はありません。使うなら、その場で一行の言い換えを添える。それだけで、読み手は自分に該当するかどうかを判断しやすくなります。士業全体に共通する言葉づかいの考え方は集客カテゴリの記事一覧にある「士業のホームページに専門用語を書いても集客は伝わらない」で扱っているので、用語の言い換えそのものを詳しく知りたい場合はそちらが向いています。
税理士のホームページの導線は、どう分ければいいですか?
読み手の状況を先に並べ、そこから問い合わせまでの道筋をそれぞれ一本ずつ作る形が分かりやすいと考えています。区別がつかない用語で入口を作るのではなく、「自分はこれだ」と言える状況で入口を作る順番です。
税理士のサイトでは、経営者が税務・財務・会計・経理の区別をつけていないため、専門領域の名前で並べた入口は選ぶ材料になりにくいと考えています。だとすれば、入口は用語ではなく状況で作るほうが合理的です。私は入口の並べ方を、次のように考えています。
- 想定する読み手の状況を、時系列で並べる(これから起業する/始めて1年目/従業員を雇い始めた/事業を次に渡す準備をしている)
- それぞれの状況で、読み手が一番知りたいことを一文で書く
- 専門用語を使う場合は、同じ行に言い換えを添える
- 各入口から、相談の流れ・やりとりの手段・問い合わせ先までを一本につなげる
入口ごとに「ここに相談していい」を書く
状況で分けたページの役割は、専門領域を説明することではなく、読み手に「自分はここに相談していいらしい」と思ってもらうことだと考えています。そのため、各入口には次の3つを置くと判断しやすくなると考えています。
- その状況の人から、実際によく相談される内容
- その相談を、どこまで引き受けるのか
- 相談したあと、最初に何が起きるのか
この3つは、事務所の側がすでに口頭で説明している内容とほぼ重なります。新しく考えるのではなく、説明している内容をページに移す作業として取りかかれます。
「顧問をやっています」はホームページに書く必要がありますか?
書く必要があります。税理士の側は「顧問をやっているのは当然」と思って省略しがちですが、経営者側からすると全く分かりません。当然だと思っている情報ほど、明文化されないまま抜け落ちます。
顧問をやってますよね、そりゃそうですよね、と専門家の側は思うかもしれません。しかし経営者側からしたら全く分からない、という前提に立つ必要があります。税理士に何を頼めるのかを知らないまま探している経営者は珍しくありません。
省略されやすい情報を、あえて文字にする
専門家が「書くまでもない」と判断してしまう情報を、ひとつずつ文字に戻していきます。
- 顧問として継続的に関わる仕事を受けているのかどうか
- 顧問が中心なのか、事務作業の代行も引き受けるのか
- 年に一度の区切りだけの依頼も受けるのか
- やりとりの手段(対面・オンライン・チャットなど)はどうなるのか
この整理は、書き足す作業というより、頭の中にある当然を棚卸しする作業です。棚卸しした内容をそのまま掲載すれば、読み手は相談してよい相手かどうかを判断できるようになります。
得意分野をはっきり書くと、相談の幅が狭くなりませんか?
逆に判断材料になると考えています。この分野に強いですというのがはっきりしていると、それだけでも集客につながるのではないかと考えています。比べる基準がないページのほうが、選ばれにくい状態になります。
幅広く対応できますという書き方は、対応できる範囲を正直に示しているつもりでも、読み手からは何も読み取れません。どの事務所のページにも同じ言葉が並ぶため、比べる材料になりにくいからです。
絞るのは掲載の順番であって、受ける仕事ではない
得意分野を書くことは、それ以外を断ると宣言することではありません。掲載の順番として、強い分野を先に、それ以外を後ろに置くという整理です。
- 強い分野を先頭に置き、根拠になる経験を添える
- 対応できる範囲は、その後ろに一覧で示す
- 対象顧客層と組み合わせて書く(例:起業予定者向けで、この分野に強い)
この組み合わせまで書けていると、読み手の側で「自分はここに当てはまる」と判断しやすくなり、問い合わせの内容も具体的になりやすいと考えています。
専門用語を使わずに書くには、どういう手順を踏めばいいですか?
税理士の話を聞いて、書き手自身が理解できる内容まで落とし込んでから書く、という順番を踏みます。税理士のウェブサイトを担当するときは、このフローで進めることもありました。狙う水準は、中学生でも分かるぐらいのトーンです。
専門用語を外すのは、言葉を置き換える作業ではなく、理解の順番を作り直す作業だと考えています。私が踏んでいた順番は次のとおりです。
- 税理士の話を一生懸命聞く。専門的な説明も省略せず、そのまま全部聞く
- 聞いた内容を、書き手自身が理解できる状態まで落とし込む。ここで分からないところは聞き直す
- 落とし込めた内容だけを、専門用語を外してホームページのライティングに回す。このとき、中学生でも分かるぐらいのトーンを意識する
自分で書く場合のセルフチェック
自分の事務所のページを自分で書く場合、2番目が難所になります。自分にとっては理解済みなので、落とし込みの工程が省略されやすいからです。そこで、次の形で確認する方法が使えると考えています。
- その段落を、業界の外にいる人に声に出して説明できるか
- 説明のときに使った言い方が、ページに書かれているか
- 口で説明するときには言うのに、ページには書いていないことはないか
口頭で説明できる内容は、すでに落とし込めています。書けないのではなく、書く形になっていないだけなので、話した言葉をそのまま持ってくれば形になります。
法改正の内容は、ホームページでどう扱えばいいですか?
改正の条文をそのまま載せるのではなく、経営者の状況に置き換えて噛み砕いた形で出すのが税理士サイトの役割だと考えています。税制改正は毎年度行われるため、その翻訳を続けること自体が専門家であることの示し方になります。
税制改正は毎年度行われています(財務省・2026年9月時点/最新は公式情報でご確認ください)。そういった内容をしっかりと噛み砕いて、分かりやすく提示していくことが、税理士のホームページでは大きな意味を持つと考えています。改正そのものは公的機関が公表していますが、経営者にとっては読み解くのが難しいままです。そこを翻訳する役割は、専門家の側にしかありません。
翻訳するときの書き方
読み手は「何が変わったか」より「自分は何をすればいいか」を知りたい立場にあります。そのため、次の順番で書くと状況に結びつきやすくなると考えています。
- どの立場の人に関係する改正なのかを最初に書く(例:従業員を雇っている事業者)
- 変わった内容を、専門用語を外して一行で書く
- その人が次にやること、確認する書類を具体的に書く
- 判断が分かれる部分は、相談の入口につなげる
税制改正の内容や時期は、財務省の税制改正に関する公表情報や国税庁の税の情報で確認できます(2026年9月時点)。個別の改正内容や適用時期は変わるため、記事化するときは必ず最新の公式情報を確認してください。
翻訳を出し続ける負担を軽くする
この翻訳は、中身がないから止まるのではなく、文章にする工程で止まりやすいところです。聞かれるたびに口で説明しているなら、その説明がそのまま原稿の元になります。もしデジは、月に一度話すだけで、話した内容が記事になってサイトに積み上がる仕組みです。収録1本は5分程度(2〜10分)、1本の収録から記事は1〜5本、公開ペースは原則1日1本で月およそ30本。毎週、次に話す質問が届くので、テーマを自分で考える必要はありません。
検索から問い合わせが入り始めるまでは、一般的に半年から一年かかります。積み上げ型なので立ち上がりはゆっくりですが、積み上がったものは簡単には崩れません。まずは自分のサイトを開いて、プロフィール・仕事の領域・対象顧客層・得意分野の4項目が書かれているかを確認するところから始められます。もしデジのサービス内容はこちらから確認できます。
よくある質問
税理士のホームページに最低限載せるべき項目は何ですか?
プロフィール(顔写真・経歴・事業を立ち上げた思いや背景)、仕事の領域(顧問中心か、事務作業も受けるか)、対象顧客層(起業予定者・小規模事業者・中小企業・大手のどこを見ているか)、得意分野の4つが大事だと考えています。この4つが揃うと、読み手は自分が該当するかと、誰に頼むことになるのかを同じページで判断できます。
税理士のホームページで専門用語は完全に使わないほうがいいですか?
完全にゼロにする必要はありません。使う場合は、その場で一行の言い換えを添えるのが現実的です。判断の目安は、中学生でも分かるぐらいのトーンになっているかどうかです。事業を始めたばかりの経営者は税務・財務・会計・経理の区別すらついていない場合があるため、用語だけでページを構成すると選ぶ材料になりにくくなります。
「顧問業務」もホームページに明記すべきですか?
明記したほうがいいと考えています。税理士の側は当然だと考えて省略しがちですが、経営者側からすると何を頼めるのかが全く分かりません。顧問が中心なのか、事務作業も引き受けるのか、やりとりの手段はどうなるのかまで書くと、相談の可否をその場で判断できます。
得意分野を書くと他の依頼が来なくなりませんか?
得意分野を書くことは、それ以外を断る宣言ではなく、掲載の順番の整理です。強い分野を先に置き、対応できる範囲は後ろに一覧で示せば、幅は保てます。この分野に強いというのがはっきりしているだけでも、読み手は比べる基準を持てます。
法改正の解説はホームページ以外にも出したほうがいいですか?
サイトのコラムに加えて、SNSや動画にも広げられます。コラムは検索から見つけられる場所、SNSはすでにつながっている人に届ける場所、動画は話したほうが伝わる内容の置き場所として役割が分かれます。媒体の数より、変わった情報を噛み砕いた状態で出し続けることが大事だと考えています。
参考・出典
- 財務省|税制改正に関する情報(2026年9月時点)
- 国税庁|税の情報・手続・用紙(2026年9月時点)
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