制度が毎年変わる士業は発信のネタが切れない|法改正情報の出し方

法改正を噛み砕いて出し続ける、士業のブログネタの作り方

本記事は、ホームページ制作とWeb運用に20年携わる中で、税理士のウェブサイトを実際に担当してきた経験にもとづいて書いています。

この記事の要点

制度が毎年のように変わる仕事は、発信のネタが切れません。改正そのものを転載するのではなく、「その変更が自分の顧客にどう影響するか」を噛み砕いて提示し続ける。これが毎年更新される素材になります。書くときの基準は、専門用語を外し、中学生でも分かるトーンにすること。制度の中身より、翻訳する作業のほうが価値になります。

公開日 2026-10-14

デスクで資料と画面を見比べながら制度の変更点を確認する人の手元

制度が毎年変わる業種は、何を発信し続ければネタが切れないのか?

法改正や制度変更を、自分の顧客に向けて噛み砕いて提示し続けることです。制度は毎年のように変わるため、同じテーマでも中身が毎年更新されます。新しい話題を探しに行かなくても、手元の仕事の中に素材があります。

発信のネタが切れるという状況では、「まだ誰も書いていない新しいテーマ」を探しに行っていることが多いように思います。税理士のウェブサイトを担当してきた中で感じていたのは、制度を扱う仕事はそこを探す必要がない、ということでした。法律は毎年のように変わっていきます。その内容をしっかり噛み砕いて、分かりやすく提示していく。それだけで、毎年新しい素材が発生します。税理士に限らず、制度変更の多い仕事であれば同じ考え方が当てはまる場面もあるはずです。

1つの改正から取り出せる発信の角度

改正そのものを1本書いて終わりにすると、たしかにネタは尽きます。ここからは私の体験ではなく執筆上の整理ですが、1つの変更は次のように分けて書けます。

想定される角度書く内容届く相手
何が変わったか変更点の概要を短く変更があったことを知らない人
誰に影響するか業種・規模・形態ごとの影響範囲自分が対象かを知りたい人
いつ何をするか期限と必要な手続きの順番対応が必要だと分かった人
誤解されやすい点自己判断で間違えやすい箇所を先回りして示す自分で進めようとしている人
顧客から出た質問聞かれた質問とその答え同じ疑問を持っている人

このように分ければ、1つの改正からでも複数本に展開できます。年に複数の制度が動く仕事なら、素材が足りなくなる状況にはなりにくいはずです。

なぜ法改正の情報は、公的機関が出していても専門家が書く意味があるのか?

公的機関が出すのは制度の事実であって、業種や規模ごとの翻訳ではないからです。読む側が知りたいのは「自分の場合はどうなるのか」です。その翻訳を担えるのは、顧客の実態を知っている専門家です。

例年、税制改正が行われており、その内容は財務省や国税庁などが公表しています(2026年9月時点)。制度の正確な中身や適用時期は、必ず最新の公式情報を確認してください。

ただ、公表されている情報は、全国のあらゆる事業者に向けた書き方になっています。読んだ経営者が最初に知りたいのは「で、うちは何かしないといけないのか」の一点です。この距離を埋める作業は、顧問先の業種・規模・体制を知っている人にしかできません。

翻訳の価値が出る3つの条件

  • 対象を絞る:全事業者向けではなく「従業員5人以下の飲食店の場合」のように限定する
  • 判断に落とす:解説で終わらせず、対応が要るのか要らないのかまで書く
  • 期限を明示する:いつまでに何をするかが分かる形にする

制度の解説記事は世の中に大量にありますが、この3つが揃ったものは多くありません。専門家が書く意味はここに出ます。

法改正の記事を書いても読まれないのは何が原因なのか?

専門用語だらけになっているからです。専門用語で埋まったホームページは、経営者にはほとんど伝わりません。書いた側が正確さを優先するほど、読み手との距離は開きます。

税理士のウェブサイトを担当する中で感じていたのは、この点でした。事業を始めたばかりの経営者は、税務・財務・会計・経理の区別すらついていないことがあります。その状態の人に、改正の正式名称と条文の話から入っても届きません。

専門用語を外す基準

目安にしていたのは、中学生でも分かるぐらいのトーンで書くことです。厳密さが落ちるのではないかと心配されますが、実際に起きるのは逆で、読み手が最後まで読める状態に近づきます。業界内でしか使わない略語は初出で言い換える、制度の正式名称は書いたうえで本文は日常の言葉で進める、正確さが必要な箇所は注記として分けて残す。やっているのはこの程度のことです。専門用語の扱いそのものは士業のホームページに専門用語を書いても集客は伝わらないで詳しく書いているので、ここでは法改正の記事に限った話にとどめます。

改正の記事で特に残りやすい言葉

  • 改正の正式名称を、そのまま見出しに置いてしまう
  • 「要件を充足する」のような、日常では使わない言い回し
  • 施行・適用・経過措置といった、順序の説明が必要な言葉

専門用語を外すのは、内容を薄めることではありません。入口だけを下げて、中身はそのまま出す、という作業です。

小さな会議テーブルで専門家の説明を聞きながらメモを取る様子

専門的な内容を、自分が理解できるまで落とし込むとは具体的に何をするのか?

書く前に、その分野の素人が人に説明できる状態まで内容を噛み砕くことです。税理士のウェブサイトを担当していたときは、税理士の話を一生懸命聞いて、自分でも理解できる内容まで落とし込んでからライティングするという流れで対応していました。

この順番を守ると、記事の難易度が勝手に下がります。自分が分かっていない部分は、どうしても専門用語のまま貼り付けることになるからです。逆に言えば、専門用語が残っている箇所は、書き手が理解しきれていない箇所だと判断できます。

落とし込みの手順

  1. 改正や制度について、分かっている人に説明してもらう(または自分の理解を一度そのまま声に出す)
  2. 分からなかった言葉をその場で拾い、言い換えを確認する
  3. 「結局、誰が、いつまでに、何をするのか」の一文にまとめる
  4. その一文を起点に、背景や例外を後ろに置いていく
  5. 書き終えたら、業界の外にいる人が読んで止まる箇所がないか見る

自分で書く場合も同じで、専門家本人が声に出して説明してみると、普段どれだけ省略して話しているかが分かります。顧問先に口頭で説明している内容は、すでに噛み砕かれた状態になっていることが多いので、そのまま記事の素材になります。

法改正の発信とあわせて、ホームページに載せておくものは何か?

プロフィール、仕事の領域、対象顧客、得意分野の4つです。改正の記事で見つけてもらっても、この4つがないと「この人に相談していいのか」が判断できず、そこで止まります。

制度の記事は、検索してきた人との最初の接点になります。そこから先に進んでもらうために、同じサイトの中で次の4つを揃えておきたいところです。

  • プロフィール:顔写真、経歴、事業を立ち上げた思いや背景
  • 仕事の領域:顧問中心か、事務作業も受けるか
  • 対象顧客:起業予定者・小規模事業者・中小企業・大手など
  • 得意分野:どの分野に強いかを明示

プロフィールの具体的な書き方は士業のプロフィールの書き方に、仕事の領域の示し方は「顧問やってます」は書かないと伝わらないにまとめているので、ここでは要点だけにとどめます。

当然だと思っていることほど書かれていない

税理士からすれば「顧問をやっているのは当たり前」ですが、経営者側からは全く分かりません。当たり前すぎて省略されている情報が、読む側にとっては最初の判断材料になります。この分野に強い、とはっきり示されているだけでも集客につながる可能性があります。

法改正の記事を増やしていくほど、入口は広がります。その入口から来た人が止まらないように、この4つを先に置いておく。順番としてはこちらが先です。

ネタはあるのに更新が続かないときは、どうすればいいのか?

ネタ切れではなく書く作業が止まっているので、書く作業のほうを外します。制度の理解と顧客への説明はすでに仕事の中でやっているため、残っているのは文章化の工程だけです。

制度が変わる仕事で発信が止まるのは、素材がないからではありません。改正を調べ、顧問先に説明するところまでは毎年やっています。止まるのは、それを文章に起こす時間が本業の後ろに回るからです。

話した内容が記事になる形にする

もしデジは、月に一度話すだけで、話した内容が記事になってサイトに積み上がる仕組みです。収録は1本5分程度。1本の収録から記事は1〜5本になり、公開は原則1日1本、月およそ30本のペースで進みます。毎週、次に話す質問が届くので、答えるだけで素材が溜まります。まとめて録っておけば在庫になり、繁忙期でも更新は止まりません。

記事1本ごとに、サイト記事に加えて、note用の書き下ろしとSNS投稿文6媒体分(X・Instagram・Facebook・LINE・LinkedIn・Threads)が付きます。料金は、自分で進められる方向けのベーシックが月20,000円(税別)、月1回同席してテーマを一緒に決めるスタンダードが月70,000円(税別)、画像の用意と投稿まで代行するプレミアムが月120,000円〜(税別)です。収録本数の上限はプランで変えていません。

検索から問い合わせが入り始めるまでは、一般的に半年から一年かかります。積み上げ型なので時間はかかりますが、その代わり、積み上がった記事は簡単には崩れません。毎年変わる制度を噛み砕いて出し続ける仕事は、この積み上げと相性がいい側です。

よくある質問

法改正の記事は、改正が公表されてすぐに書くべきですか?

早く出すほど読まれやすい一方で、正確さを欠くと専門家としての信頼を損ないます。公表直後は「何が変わったか」だけを短く書き、詳細が固まってから「誰にどう影響するか」「いつまでに何をするか」を別記事として出す、という分け方にすると、1つの改正を複数本に展開しながら正確さも保てます。制度の内容は最新の公式情報で確認してください。

専門用語を外すと、同業から軽く見られませんか?

読む相手が同業ではなく経営者であれば、専門用語を外した文章のほうが届きます。事業を始めたばかりの経営者は、税務・財務・会計・経理の区別もついていないことがあります。正確さが必要な箇所は注記として残し、本文は中学生でも分かるトーンにする、という分け方であれば、厳密さを落とさずに入口だけを下げられます。

毎年同じ制度のことを書くと、内容が重複しませんか?

制度の内容そのものが変われば、同じテーマでも中身は別物になります。加えて、影響する対象・期限・誤解されやすい点・顧客から実際に受けた質問といった角度を分ければ、1つの改正からでも複数本に展開できます。前年の記事はそのまま残し、新しい年の記事から参照する形にすると積み上がります。

記事を書く時間が取れない場合はどうすればいいですか?

書く工程だけを外す方法があります。もしデジでは、5分程度の収録1本から記事が1〜5本になり、原則1日1本のペースで公開されます。制度を理解して顧問先に説明する部分はすでに日常業務の中にあるので、それを話すだけで素材になります。

参考・出典

関連記事

専門家がコラムに何を書くか|嘘をつきづらいから信頼が積み上がる
登壇で話した内容は8割9割出していい|出し惜しみが発信を止める
炎上が怖くて発信できない経営者へ|炎上リスクは避けられないと考えた理由

記事が積み上がる仕組みを見るお問い合わせはこちら

← 書くことがない・続かないへ戻る