専門家がコラムに何を書くか|嘘をつきづらいから信頼が積み上がる

最新の内容を分かりやすく書き続けることが信頼になる理由

本記事は、ホームページ制作とWeb運用に20年携わる中で私が整理してきた、士業・専門職のサイトづくりの考え方をもとに書いています。

この記事の要点

専門家がコラムに書くべきなのは、扱っている分野の最新の内容を、専門知識が一つもない人が読んでも分かる言葉に直したものです。コラムはサイトの中で一番嘘をつきづらい部分で、分かりやすい説明を重ねた分だけ信頼が積み上がります。続かない原因は意思ではなく書く作業にあるため、そこを外せば止まりません。

公開日 2026-10-13

自社サイトのコラム記事を読みながらノートに書き込む日本人の専門職

専門家は自社サイトのコラムに何を書けばいいのか?

書くのは、扱っている分野の最新の内容です。ただしそれを、専門知識を一つも持っていない人が読んでも分かる言葉に直すところまでがセットになります。難しいことを難しく書いた記事は読まれませんが、同じ中身を平易な言葉に置き換えた記事は読まれて、信頼になります。

専門職のコラムで迷いが出るのは、たいてい「書く中身がない」からではありません。中身は現場に大量にあります。迷うのは、どのレベルに合わせて書けばいいのかが決まっていないからです。

基準は一つに絞れます。専門知識を一個も持っていないような人が見ても分かるか。この基準で書くと、書く内容は自然に決まっていきます。

コラムに向いている題材

  • 扱っている分野で最近変わったこと、新しくなったこと
  • 依頼前によく質問されること、同じ説明を何度も繰り返していること
  • 専門用語を一つ取り上げて、それが依頼者にとって何を意味するのかを言い換えたもの
  • 進め方の流れ(何から始まって、どこで何が必要になるのか)

どれも、現場にいれば説明できる内容です。新しく調べる必要はありません。普段、目の前の相手に口で話していることを、そのまま文字にするだけで1本になります。

避けたい書き方

専門の知見をそのまま載せても、発注する側には何も伝わりません。ここを先に認識しておくと、書くときの力の入れどころが変わります。知識の正確さを競う場所ではなく、知識のない人に届く形に翻訳する場所がコラムです。専門用語の扱いについては士業のホームページに専門用語を書いても集客は伝わらないでも整理しています。

なぜコラムを書くと信頼が積み上がるのか?

コラムは、サイトの中で一番嘘をつきづらい部分だからです。実力や姿勢がそのまま出るため、分かりやすい説明を重ねた分だけ読み手の側に判断材料がたまっていきます。これは一度の見せ方では代えられない種類の信頼になります。

トップページのキャッチコピーや実績の見せ方は、言葉を選べばある程度よく見せられます。けれどコラムはそうはいきません。分かっていないことは分かりやすく説明できないからです。だからコラムは一番嘘をつきづらい部分になります。

読み手の側から見ると、コラムは次のような情報として機能します。

サイトの要素読み手が受け取るもの
サービス紹介ページ何をしてくれるのか
料金ページいくらかかるのか
プロフィールどういう人なのか(経歴・思い)
コラム本当に分かっているのか、どう考える人なのか

発注する側が気にしているのは、結局この人がどんな人なのかという部分です。経営者も同じで、頼む前に人柄を見ています。コラムは、その人柄と理解度が同時に出る場所です。

1本では効かないが、束になると効く

コラムの信頼は、1本の出来で決まりません。同じ分野の説明が何本も並んでいる状態が、この人はこの領域をずっと見てきたという事実になります。だから数と継続が効いてきます。逆に言えば、途中で止まったコラムは、止まった時点までの印象で固定されます。

専門用語を使わずに書くと、浅く見えてしまわないか?

浅く見えるのは、用語を減らしたからではなく、判断の理由を書いていないときです。用語を平易な言葉に置き換えたうえで、どう判断するのか、何を見てそう決めるのかを書けば、専門性はむしろはっきり伝わります。

専門的な言葉を一切使わず、平易な言葉で伝わるように書く。これはレベルを下げることではありません。相手の持っている前提に合わせて説明の順番を組み替える作業です。

深さを出す3つの書き方

  1. 場合分けを書く。こういう状況ならこう、違う状況ならこう、と分けて書く。分けられること自体が経験の証明になります。
  2. 判断の基準を書く。何を見て決めるのかを一文で言い切る。結論だけより、基準のほうが読み手には価値があります。
  3. 最新の状況を書く。扱っている分野で今どうなっているのかを添える。現場にいないと書けない部分です。

用語を使うと専門性が出るように感じますが、読み手にとっての専門性は「自分の状況を分かってくれているか」で測られます。用語は減らし、場合分けと基準を増やすほうが、同じ字数でも伝わる深さは増えます。

経歴で勝負しづらいときは思いを書く

経歴に出せるものが少ない場合は、何のために独立したのか、どんなサポートをしたいのかという思いを、専門用語を使わずに書くことで代えられます。ミッション・ビジョン・バリューをきちんと掲載している士業の方は少ない印象があり、書けば差がつきやすい部分です。書き方は士業のプロフィールの書き方|経歴で勝負できないなら思いを書くにまとめています。

交流会で名刺交換を終えた後にスマートフォンで相手の社名を調べる様子

コラムが続かないときは何を変えればいいのか?

変えるのは意思ではなく、書く作業の置き場所です。続かない原因のほとんどは文章を書く工程にあるため、話す工程だけ自分に残して、文章にする工程を外せば止まりません。中身は現場から出てくるので、話せる人なら素材は切れません。

更新が止まるのは珍しいことではありません。説明したい内容が多いほど1本に時間がかかり、止まりやすくなります。そして1本に時間がかかる状態は、忙しい月に止まります。

工程を分けて考える

工程向いている人外せるか
中身を出す(話す)現場を持っている本人外せない
文章にする書く作業に慣れた側外せる
公開・配信する作業として処理できる側外せる

止まる原因は真ん中の工程に集中しています。ここを外すと、残るのは話す工程だけになります。

話すだけで積み上げる形にする

もしデジは、この構造をそのまま仕組みにしたサービスです。収録1本は5分程度(2〜10分)。その1本から記事が1〜5本生まれ、原則1日1本のペースで公開されていきます。月におよそ30本です。毎週、次に話す質問が届くので、何を書こうかと考える時間もいりません。まとめて録っておけば在庫になり、忙しい月でもコラムは止まりません。

発信が止まる構造の整理は発信が続かない原因の整理(発信カテゴリ)にまとめています。止まった経験があるなら、意思の問題として反省する前に、どの工程で止まったのかを見てみてください。

コラムはどのくらい続けると効いてくるのか?

検索から問い合わせが入り始めるまでは、一般的に半年から一年かかります。これは積み上げ型の設計だからで、その代わり、積み上がったものは簡単には崩れません。短期の反応を取りたい活動とは役割を分けて持つのが現実的です。

期間の話を先に出しておくのは、途中でやめる理由を減らすためです。3か月で反応がないからやめる、という判断が一番もったいない形になります。

積み上げ型と単発型の違い

コラムの積み上げセミナー・展示会などの単発
効き始めるまで半年から一年その場で接点ができる
止めたときの残り方公開した記事は残る終われば露出は止まる
かかる手間話す工程だけに絞れる準備と当日の拘束がある

どちらが優れているという話ではありません。単発の活動で今月の商談をつくりながら、同時にコラムを積んでおく。半年から一年たったころに、検索から来る分が足されていく。この二階建てが、一人や少人数で回す場合に一番無理がない形です。

途中の見方

効き始める前の期間は、掲載された位置や訪問数を毎週見ても判断材料になりません。見るなら、本数が増えているか、同じ分野の説明が並んできたか、という積み上がりのほうです。数が揃っていれば、効き始める条件は整っていきます。

コラムを書いても誰も来ないのでは?リアルの活動とどうつなげるのか?

ホームページを作って待っていても、社名や屋号を知らない相手は検索できません。順番は逆で、交流会・展示会・セミナー登壇などで名前を知ってもらい、その人が後から調べたときにコラムで回収します。コラムは、名前を知った人の疑いを信頼に変える受け皿です。

名前を知らなければ検索はできません。これは当たり前のことですが、ホームページを作った直後は忘れられがちです。だから、名前を知ってもらう活動と、知った後に受け止める場所を、セットで持つ必要があります。

名前を知ってもらう側の活動

  • 交流会・展示会・セミナー登壇
  • Googleマップへの掲載(掲載の手順や要件は変わるため、取り組む前にGoogle ビジネス プロフィール ヘルプなど最新の公式情報で確認してください)
  • SNS投稿、note投稿
  • YouTube・TikTokなどの動画メディアへの投稿

知った後に起きること

1回挨拶した相手のことを調べる、というアクションが出てきます。名刺を見ながら社名を検索する、その場で検索する。そこで出てきたサイトに、分かりやすいコラムが並んでいるのか、何も載っていないのか。この差が、次の連絡が来るかどうかを分けます。

さらに言えば、リアルに出るほど検索される回数は増えます。その検索を自社サイトが受け止められなければ、上位にある他社のサイトが受け止めます。リアルに投資するほど他社のサイトが強くなる、という状態になるので、リアルで作った需要は自社サイトで回収する形に揃えておくほうがいいわけです。

ホームページ単体で勝負するなら

名前を知られていない状態から、ホームページだけで集客したい場合もあります。そのときは打ち出し方を絞ります。地域名と資格の種類を掛け合わせる、あるいは特定の専門分野に特化する(〇〇専門の資格、という形にする)。この2つは分かりやすく戦える内容になります。

登壇で話した内容をどこまでコラムに出すか迷う場合は、登壇で話した内容は8割9割出していい|出し惜しみが発信を止めるも参考にしてください。

最初の1本は何から書けばいいのか?

最初の1本は、直近で一番多く口で説明したことを書くのが確実です。話せている内容は、すでに分かりやすい順番で頭の中に組まれているからです。テーマを探すより、繰り返している説明を拾うほうが早く終わります。

最初の1本で止まる人は多いのですが、原因はネタ切れではありません。1本目から完成度の高いものを出そうとして、着手が遅れるだけです。

最初の3本の決め方

  1. 1本目:直近で一番多く説明したこと。何度も同じ質問を受けたテーマがあれば、それが1本目です。
  2. 2本目:その説明の中で、相手が一番つまずいた用語。用語を一つ取り上げて、依頼者にとっての意味だけを書きます。
  3. 3本目:依頼から完了までの流れ。何から始まり、どこで何が必要になるのかを順番に書きます。

この3本が並ぶと、サイトを見た人は「分かっている人だ」「話が通じそうだ」という判断ができる状態になります。あとは同じやり方を続けるだけです。

書く前に決めておくこと

決めておくのは、誰に向けて書くかの一点だけです。専門知識を一つも持っていない人を読者に置く。この設定を毎回使い回せば、1本ごとに書き方を悩む必要がなくなります。書く時間が取れない場合は、話した内容を記事にする形に切り替えると、残るのは話す工程だけになります。

よくある質問

コラムは月に何本書けばいいですか?

本数の正解はありませんが、同じ分野の説明が並んでいる状態になるまで続けることが条件です。1本の完成度より、止まらない本数のほうが効きます。書く作業に時間がかかって止まるなら、話した内容を記事にする形にして、本数を落とさないほうを選ぶのが現実的です。

専門知識をそのまま載せてはいけないのですか?

載せても発注する側には伝わりにくい、という前提を持っておくと書き方が変わります。専門知識を一つも持っていない人が読んでも分かる言葉に置き換えるところまでがコラムの仕事です。正確さを落とす必要はなく、説明の順番と言葉を相手に合わせます。

コラムとSNS投稿はどちらを優先すべきですか?

役割が違うので、どちらかではなく組み合わせになります。SNSや交流会・展示会・セミナー登壇は名前を知ってもらう側、コラムは名前を知った人が後から調べたときに受け止める側です。名前を知られていなければ検索はされないので、知ってもらう活動と受け皿の両方が必要になります。

コラムの効果はいつ出ますか?

検索から問い合わせが入り始めるまでは、一般的に半年から一年かかります。積み上げ型のため時間がかかりますが、公開した記事は残るので、積み上がったものは簡単には崩れません。短期で反応が必要な分は、セミナーや展示会などの単発の活動で取るという分け方になります。

ホームページだけで集客したい場合はどうすればいいですか?

打ち出し方を絞ります。地域名と資格の種類を掛け合わせる、または特定の専門分野に特化して「〇〇専門」という形で打ち出す。この2つは分かりやすく戦える内容になります。そのうえで、コラムで最新の内容を分かりやすく出していくと、受け皿として機能し始めます。

参考・出典

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