士業のホームページに専門用語を書いても集客は伝わらない

専門知識ゼロの人が見て分かるかで、依頼は決まる

本記事は、ホームページ制作とWeb運用に20年携わってきたノルツ株式会社 代表取締役・原本昌悟の実体験と、実際に相談を受けてきた内容にもとづいて書いています。

この記事の要点

士業のホームページで依頼が増えない最大の理由は、専門知識をそのまま載せてしまうことです。発注側が見ているのは「この人はどんな人か」であり、専門用語で書かれた知見はほとんど伝わりません。専門知識を一つも持たない人が見ても分かる言葉に置き換え、業務内容をカテゴライズし、思いと人柄を出す。そのうえで名前を知ってもらう活動と組み合わせると、検索された時に信頼を回収できます。

公開日 2026-09-29/更新日 2026-10-01

事務所のデスクでノートパソコンの画面を見ながら資料を確認する日本人の専門職

なぜ士業のホームページに専門知識を書いても伝わらないのか?

専門知識をそのまま載せると、読み手である発注側には内容が届かないからです。士業や専門的な知見を持つ業者ほど、自分の得意分野を正確に書こうとして専門用語のまま並べてしまいます。まずは「載せても伝わらない」と認識するところが出発点になります。

私がホームページの相談を受けていて、士業の方や専門的な知見を持つ業者の方に共通して見えるのが、この形です。

専門の知見をホームページに載せても何も伝わらないというところを、まずは認識されるのがいいのかなというふうに思います。(原本昌悟)

書いている側にとっては、専門用語は最短で正確に伝わる言葉です。同業者や有資格者が読めば、実力も守備範囲も一読で伝わります。ところが、実際にサイトを見て依頼を検討しているのは、その分野の知識をほとんど持たない経営者や個人です。同じ文章が、読み手にとっては「難しそう」「自分の悩みと関係あるのか分からない」という印象だけを残して終わります。

ここで起きているのは、能力不足ではなく翻訳の不足です。中身は十分にあるのに、読み手の言語に変換されていない。だから、変換のルールを決めてしまえば解決します。

  • 専門知識を一つも持っていない人が見ても分かる言葉に置き換える
  • 正確さのための言い回しより、読み手が自分ごとにできる言い回しを優先する
  • 用語を使う必要がある場合は、その場で平易な説明を添える

この3つを前提にするだけで、同じ知見が「読める情報」に変わります。

依頼者はホームページの何を見ているのか?

発注側が気にしているのは「この人はどんな人なのか」です。資格や業務範囲は前提として確認されますが、最後に問い合わせるかどうかを決めているのは人柄の部分です。だからプロフィール写真、思い、語り口といった情報が判断材料になります。

私はこう考えています。

結局のところ、経営者の皆様とか、発注側の人ですね、が何を見ているのかといったら、この人どんな人なんだろうというところを気にしていると思うんですね。(原本昌悟)

士業への依頼は、お金や事業の重要な部分を預ける行為です。預ける相手として安心できるかを、依頼者はサイト上の限られた情報から判断しようとします。そのときに専門用語の羅列しかなければ、判断材料がないまま離脱します。

人柄を伝える手段は、特別なものではありません。

  • プロフィール写真を載せる:顔が分かるだけで、相手の中の不安が一段下がります
  • 動画を置く:話し方や表情は、文章より早く人柄を伝えます
  • コラムを書く:考え方や姿勢が、内容の選び方にそのまま出ます
  • 思いを書く:何のために独立したのか、誰をどう支えたいのか

専門性で選ばれる前に、人として選ばれている。そう捉え直すと、サイトに載せる情報の優先順位が変わります。

士業のホームページには具体的に何を書けばいいのか?

業務内容をカテゴライズして整理し、専門用語を使わない説明を添えるのが基本です。そのうえでプロフィール、思い、写真、コラムを揃えます。書く順番を決めてしまえば、文章が得意でなくても形にできます。

私が士業の方に伝えている構成要素を、目的別に整理します。

載せるもの目的書き方のポイント
業務内容(カテゴライズ)自分の悩みが該当するか判断してもらう分野ごとに分け、専門用語を使わず「どんな時に頼むものか」で書く
プロフィール依頼先として信頼できるか判断してもらう経歴に強みがあれば書き込む。強みが少なければ思いを書く
プロフィール写真人物像を伝える顔が分かるものを用意する
思い(ミッション・ビジョン・バリュー)価値観が合うか判断してもらう何のために独立したか、どんな提供をしたいかを平易な言葉で
コラム信頼を積み重ねる最新の内容を、分かりやすく
動画人柄を短時間で伝える話している姿がわかるもの

手順にすると、こうなります。

  1. 扱っている業務を書き出し、依頼者から見た困りごと単位でカテゴリに分ける
  2. 各カテゴリを、専門知識ゼロの人に説明するつもりで1〜2段落にまとめる
  3. プロフィールに、経歴か思いのどちらかを厚く書く
  4. プロフィール写真を用意して掲載する
  5. コラムを、分かりやすさ優先で積み上げる

いきなり全部を完璧にする必要はありません。カテゴライズと平易な説明の2つを先にやるだけで、伝わり方は変わります。

名刺交換のあとに手帳とスマートフォンで相手の情報を確認するビジネスパーソン

経歴に書けることが少ない場合はどうすればいいのか?

経歴で強みを出しにくい場合は、思いを書くことで代替できます。何のために独立したのか、どんなサポートを提供したいのか。ミッション・ビジョン・バリューをきちんと掲載している士業の方は、私の印象では多くありません。だからこそ差がつきます。

私が見てきた範囲での実感です。

士業の方でちゃんとミッションビジョンバリューを掲載してやっている方って、結構少ないような印象がございます。(原本昌悟)

独立して間もない方や、大きな肩書きを持たない方は、経歴の欄で勝負しにくいと感じることがあります。ただ、依頼者は経歴の長さだけを見ているわけではありません。価値観が合うか、自分の状況を理解してくれそうかを見ています。そこに応えるのが思いの言語化です。

書く内容は、次の2点で足ります。

  • 何のために独立したのか
  • どんなサポート・提供をしたいのか

ホームページを作った理由まで書く必要はありません。大事なのは書き方で、ここでも専門的な言葉を一切使わず、平易な言葉で伝わるように書きます。実績が積み上がるのを待たなくても、思いは今日書けます。経歴が弱いのではなく、まだ書いていないだけ、という場合がほとんどです。

コラムを書くと本当に信頼につながるのか?

つながります。コラムは、一番嘘をつきづらい部分だからです。最新の内容を分かりやすく説明し続けている状態そのものが、知識と姿勢の証明になります。1本ごとの完成度より、分かりやすさと継続が効きます。

私はコラムをこう位置づけています。

コラムって一番嘘をつきづらい部分なので、そういう部分で分かりやすい説明をしっかりとしてあげる。(原本昌悟)

プロフィールや業務内容のページは、書こうと思えばいくらでも整えられます。一方でコラムは、実際に分かっていなければ書けません。内容の選び方、説明の順序、どこを噛み砕くか。そのすべてに、その人の理解度と依頼者への向き合い方が出ます。読む側はそれを感じ取ります。

コラムで意識する点は3つです。

  1. 最新の内容を扱う:制度や実務の動きは、専門家だからこそ早く書けます
  2. 分かりやすく書く:同業者向けではなく、依頼者向けの言葉で
  3. 積み上げる:1本の出来より、積み上がった総量が信頼になります

更新が続かないという声はよく聞きますが、原因は意思の弱さではなく、書く作業そのものにあります。話すのは得意でも、文章にする工程が重い。そこを外す仕組みを作れば、コラムは止まらなくなります。

ホームページを作って待っていれば依頼は来るのか?

名前を知られていない段階では、待っているだけでは検索されません。名前を知らなければ、検索することができないからです。交流会・展示会・セミナー登壇・SNS・noteなどで名前を知ってもらい、その後に調べられたときホームページが受け止める。この順番が本筋です。

私がよく話すのは、この構造です。

ホームページを作って待っていても、御社の名前を検索してもらうことができないという、名前を知らなければ当然検索することができないのでね。(原本昌悟)

一方で、一度でも会えば人は調べます。

1回挨拶したその方のことを調べるというね、そういうアクションが出てきますので、そこでホームページで回収していくというのが、本筋の流れかなというふうに思います。(原本昌悟)

つまり、ホームページは集客装置というより、生まれた興味を受け止める受け皿です。名前を知ってもらう活動は、たとえば次のようなものです。

  • 交流会・展示会への参加
  • セミナー登壇
  • SNSでの投稿
  • noteでの発信
  • YouTube・TikTokなど動画メディアでの投稿
  • Googleマップへの掲載(Googleビジネスプロフィール/2026年9月時点。登録要件や機能は変わることがあるため、最新の公式情報で確認してください)

ここで押さえておきたいのは、リアルの活動を増やすほど、あなたの名前で調べる人が増えるということです。その検索を自社サイトが受け止められなければ、上位にある他社のページが受け止めます。活動に投資するなら、受け皿を先に整えておく。順番としてはそうなります。

ホームページだけで集客したい場合はどう打ち出せばいいのか?

地域名と資格の種類を掛け合わせるか、特定の専門分野に絞って打ち出すのが分かりやすい戦い方です。全方位に「何でもやります」と書くより、対象を絞ったほうが探している人に届きます。

私はこう考えています。

地域名プラス資格の種類だったりとか、あと、何か特定の専門分野を作るというのはね、すごく分かりやすく戦える内容にありますので(原本昌悟)

打ち出し方は大きく2通りです。

打ち出し方例のかたち向いている状況
地域名 × 資格の種類「◯◯(地域)の△△士」として地域に根ざす対面での相談が多い、商圏が決まっている
特定の専門分野への特化「◯◯専門の△△士」として分野で立つ特定業種・特定分野の経験が厚い

絞ると仕事の幅が狭くなるように感じるかもしれませんが、実際には逆で、探している人から見つけてもらいやすくなります。相談が入ってから守備範囲を広げて話すことはできますが、そもそも見つけてもらえなければ会話は始まりません。

そして、絞ったテーマこそコラムが書きやすくなります。対象が決まれば、その人が困っていることも具体的に見えるからです。専門用語を使わず、その人に向けて書く。それを積み上げていくことが、ホームページからの集客の土台になります。書く作業そのものが重いという場合は、話した内容を記事にする形に切り替えるという方法もあります(もしデジ)。

よくある質問

士業のホームページで、専門用語は一切使ってはいけないのですか?

使ってはいけないわけではありません。ただし、専門知識を一つも持っていない人が見ても分かる状態が基本です。用語を使う必要がある場合は、その場で平易な説明を添えてください。判断基準は「同業者に伝わるか」ではなく「依頼者に伝わるか」です。

実績や経歴が少なくても、ホームページで信頼を得られますか?

経歴で強みを出しにくい場合は、思いを書くことで代替できます。何のために独立したのか、どんなサポートを提供したいのかを、専門的な言葉を使わず平易な言葉で書いてください。ミッション・ビジョン・バリューをきちんと掲載している士業の方は多くない印象があるので、書いておくこと自体が差になります。

コラムはどれくらいの頻度で書けばいいですか?

頻度そのものより、分かりやすい内容が積み上がっていく状態が大事です。コラムは一番嘘をつきづらい部分なので、最新の内容を依頼者向けの言葉で説明し続けることが、そのまま信頼の積み重ねになります。続かない場合は意思ではなく、書く作業の重さを外す仕組みを検討してください。

ホームページを作れば問い合わせは来ますか?

名前を知られていない段階では、検索してもらうこと自体が起きません。交流会・展示会・セミナー登壇・SNS・noteなどで名前を知ってもらい、一度挨拶した人が調べたときにホームページで受け止める。この流れが本筋です。ホームページ単体で狙う場合は、地域名×資格、または専門分野特化で打ち出します。

問い合わせが入り始めるまで、どれくらいかかりますか?

積み上げ型の取り組みなので、検索から問い合わせが入り始めるまでは一般的に半年から一年かかります。その代わり、積み上がったコラムやプロフィールは簡単には崩れず、会った人が後から調べたときの受け皿としても働き続けます。

参考・出典

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