他士業からの紹介を増やす|協業の提案をホームページに書く

発注者が経営者か他士業かで、載せる内容は変わる

ホームページ制作とWeb運用に20年携わる中で、士業のホームページについて受けてきた相談をもとに書いています。

この記事の要点

他士業からの依頼を増やしたいなら、ホームページに「協業の提案」、つまり連携のしかたを書きます。士業のサイトは困りごとを抱えた本人向けに書かれていることが多く、弁護士など連携前提の相手が見ても、どこから引き受けてもらえるのかが分かりません。読み手が経営者か他士業かで、書くべき内容は変わります。

公開日 2026-10-29

事務所の机に資料を広げ、連携先に渡す業務範囲を書き出して整理している様子

他士業からの依頼が欲しいとき、ホームページには何を書けばいいですか?

連携のしかた、つまり「協業の提案」を書きます。困りごとを抱えた本人向けの説明だけが並んでいるサイトは、弁護士など他士業が見たときに、どこから引き受けてもらえるのかが読み取れません。連携を前提に見にくる相手には、連携の形そのものを文章にして見せる必要があります。

士業のホームページは、多くの場合「困っている当事者」が読むものとして作られています。相続で困った人、登記が必要になった人、許認可が要る人。その前提で文章を組むと、自然に「はじめての方へ」「手続きの流れ」といった内容が中心になります。

ところが、依頼の出どころが他士業である場合、読み手の状況はまったく違います。相手はすでに案件を抱えていて、自分の資格では踏み込めない部分を誰に渡すかを探しています。知りたいのは手続きの一般的な説明ではなく、どこからどこまでを引き受けてくれるのかです。

連携のしかたを書くというのは、たとえば次のような点を文章にしておくことを指します。

  • 連携して受けられる業務の範囲
  • どこから引き受け、どこで相手に戻すのかという業務の切れ目
  • 連絡の窓口と、やりとりの手段(メール・電話など)
  • 対応できる地域
  • 急ぎの案件を受けられるかどうか

これらは当事者向けのページには書きにくい内容です。だからこそ、他士業からの依頼を増やしたいなら、その相手に向けた文章を別に用意しておく価値があります。

読み手が経営者か他士業かで、書く内容はどう変わりますか?

経営者が読み手なら、専門用語を使わず「こういう困りごとを、こういうふうに解決する人なんです」という説明から入ります。他士業が読み手なら、仕事内容の基本説明は不要で、代わりに協業の提案を置きます。同じ事務所のサイトでも、この二つは書き分けが必要です。

たとえば司法書士の場合、経営者が読み手であれば、司法書士とはどんな仕事をする人なのか、おそらくそこから説明をしないといけません。資格名を知っていても、何を頼めるのかまでは分からない読み手が多いからです。このとき専門用語を並べると、読み手は自分の困りごとと結びつけられないまま離れていきます。

一方で、弁護士をはじめとする他士業は、その資格で何ができるかをすでに知っています。説明を繰り返しても価値になりません。読み手の前提知識が違うため、同じページで両方を満たそうとすると、どちらにも届かない文章になります。

読み手前提知識書くべき内容
経営者・当事者資格名は知っていても、何を頼めるかは分からない専門用語を使わず「こういう困りごとを、こういうふうに解決する人」という説明
弁護士など他士業業務範囲は理解している協業の提案(連携のしかた、引き受ける範囲、業務の切れ目)

ホームページを作るときに最初に決めるべきなのは、デザインでも料金掲載の有無でもなく、誰に向けたホームページなのかです。ここが決まらないまま作り始めると、文章の深さをどこに合わせるかが決められません。

協業の提案は、サイトのどこに置けばいいですか?

他士業向けの入口を一つ設け、そこに協業の提案をまとめて置く形が分かりやすくなります。トップページに当事者向けと他士業向けを同時に詰め込むと、どちらの読み手も自分向けの情報だと判断しにくくなるためです。

置き場所を考えるときの基本は、読み手ごとに入口を分けることです。トップページは当事者向けの導線を主にしつつ、ナビゲーションやトップページ内に「士業の方へ」「連携のご相談」といった入口を用意し、その先で協業の提案を展開します。

整理のしかたとしては、次の順に書いていくと読み手が判断しやすくなります。

  1. どの資格・どの業種からの連携を想定しているか
  2. 連携で受けられる業務と、受けられない業務
  3. 案件の受け渡しの手順(最初の連絡から、どう進むのか)
  4. 連絡先と、返答の手段

当事者向けの「はじめての方へ」と同じものを、他士業向けにもう一つ作るイメージです。ページ数を増やすことが目的ではなく、読み手の違いに合わせて文章の前提を変えることが目的になります。

他士業に選ばれる「強み」は、どう言葉にすればいいですか?

KBFとUSPという二つの切り口で考えると、書くべき言葉が出てきます。KBFは相手が発注を決める基準や不安、USPは他者との差別化ポイントです。強みを明示化して文章として伝えられると、問い合わせをする理由づけになります。

キャッチコピーや強みの文章を考えるとき、思いつきで言葉を探すと「丁寧な対応」「親身に対応」といった、どの事務所でも言える表現に落ち着きます。そこで使えるのが、KBF(Key Buying Factor=購買決定要因)とUSP(Unique Selling Proposition=独自の売り)という二つの概念です。

KBF:相手が決める基準と、消したい不安

依頼する側が何を基準に決めているのか、何が不安で決めきれないのかを書き出します。他士業からの連携であれば、引き受けてもらえる範囲が曖昧なこと、進捗が見えないこと、自分の顧客との関係に影響が出ないかといった点が、判断を止める要因になりえます。その不安を解消する言葉をそのまま文章にします。

USP:他と違う点

対応できる業務の組み合わせ、扱ってきた案件の種類、連絡の取りやすさなど、他の事務所と違う点を具体的に書きます。

強みを明示化して、強みを明らかにして、それを文章としてきちんと伝えられると、集客の問い合わせをする理由づけになります。逆に、強みが本人の頭の中にしかない状態では、読み手には何も伝わりません。

二人の士業が机をはさんで案件の進め方を相談している場面

コラムには何を書けば、他士業からの信頼につながりますか?

法律が変わったときの内容と、難しい処理を実際に調べながらクリアしたときの内容を、わかりやすい言葉で書きます。この二つは実務をしていれば自然に発生し、かつ読み手に「この人は分かりやすく説明してくれる人だ」という印象を残せます。

コラムの題材に困る士業は多いのですが、書ける場面は実務の中で定期的に発生しています。

  • 法改正があったとき:何が変わり、誰に影響するのかを、専門用語を避けて書く
  • 難しい処理を調べながらクリアしたとき:どこでつまずき、どう整理して進めたのかを書く

この書き方をしておくと、この人は分かりやすく説明をしてくれる方なんじゃないだろうか、という印象を与えることができます。他士業が連携先を探すとき、知識の有無と同じくらい、依頼者に説明してもらえるかどうかを見ています。説明の分かりやすさそのものが、コラムの文章で証明されるわけです。

難しい処理をどう解決したかという記事は、同業や他士業にとっても参考になります。当事者向けの記事と連携先向けの記事を、同じコラム欄に並べて置ける点でも扱いやすい題材です。

プロフィールや写真・動画は、連携相手にも効果がありますか?

効果があります。連携は人に対して案件を預ける行為なので、どんな人物かが分かる情報は判断材料になります。動画や写真を出すことで、この人は悪い人じゃないんです、ということを対外的にアピールできます。

他士業からの紹介は、紹介した側の信用も一緒に動きます。顧客に「この人なら大丈夫です」と言えるかどうかが、連携するかどうかの分かれ目になります。そのため、人物が見えない事務所サイトは、判断の材料が足りません。

用意するものは難しいものではありません。

  • プロフィール(経歴だけでなく、どんな姿勢で仕事をしているか)
  • 顔写真、事務所の写真
  • 短い自己紹介動画

プロフィールとFAQ(よくある質問)の充実も合わせて進めると、読み手が抱く疑問をページ内で解消できます。他士業向けのFAQであれば、連携時の費用の考え方や、案件の進め方に関する質問が中心になります。

無料相談は、他士業向けにも書いたほうがいいですか?

問い合わせの最初のきっかけとして分かりやすいので、書き方を工夫して置く価値があります。「30分無料相談受付中」のような一文は、連絡してよいかどうかを迷っている読み手の背中を押します。

当事者向けのサイトでは、30分無料相談受付中といった案内を書いておくことで、最初の接点を作りやすくなります。連携を前提とした他士業向けであれば、同じ役割を果たすのは「連携のご相談を受け付けています」という入口の明示です。

無料相談を置くときに決めておくとよいのは次の3点です。

  1. 時間(例:30分)
  2. 相談できる内容の範囲
  3. 申し込みの手段(フォーム・メール・電話など)

問い合わせ手段をどうするかは、メール、LINE、SNS、電話と選択肢があり、士業のホームページでこだわるべき点の一つです。他士業からの連絡であれば、記録が残り、案件の内容を書き送れる手段を主にしておくと扱いやすくなります。ホームページ全体を、入口から相談までつながるように設計しておくことが前提になります。

協業の提案を書いてから、依頼が来るまでどのくらいかかりますか?

検索から問い合わせが入り始めるまでは、一般的に半年から一年かかります。協業の提案を載せたからといって、翌月から紹介が増えるものではありません。ただし、紹介やあいさつの後に検索された際、連携の形が書いてあるかどうかで判断のされ方は変わります。

検索で見つけてもらい、問い合わせにつながるまでには時間がかかります。これは士業に限らず、新しくページを作った場合に共通する話です。成果を保証できるものではありません。

一方で、ホームページが働く場面は検索経由だけではありません。交流会や勉強会、他士業からの紹介のあと、相手は名前を検索します。そのときに協業の提案が書いてあれば、その場で連携の可否を判断できます。書いていなければ、相手は改めて連絡して確認する手間を負うことになり、そこで止まる案件も出てきます。

先に整理しておきたいのは次の順番です。

  1. 誰に向けたホームページかを決める(経営者か、他士業か、両方か)
  2. 他士業向けの入口と、協業の提案を書く
  3. 強み(KBF・USP)を文章にする
  4. プロフィール・写真・FAQを整える
  5. コラムで、法改正と難しい処理の解決を書き続ける

一度書けば終わりではなく、法改正や新しい案件が出るたびに書き足していく性質のものです。

よくある質問

他士業向けのページと、一般のお客様向けのページは分けるべきですか?

読み手の前提知識が違うため、入口を分けるほうが伝わります。経営者や当事者には専門用語を避けた困りごと解決の説明が必要ですが、他士業にはその説明は不要で、代わりに連携のしかた=協業の提案が必要になります。

協業の提案には具体的に何を書けばいいですか?

連携して受けられる業務の範囲、どこから引き受けどこで戻すのかという業務の切れ目、連絡の窓口と手段、対応できる地域、急ぎの案件への対応可否といった点を文章にしておくと、相手がその場で連携の可否を判断できます。

KBFとUSPはどう使い分けますか?

KBFは相手が発注を決める基準や不安、USPは他者との差別化ポイントを指します。KBFで不安を解消する言葉を用意し、USPで他と違う点を具体的に書くと、問い合わせをする理由づけになる文章になります。

コラムの題材が思いつきません。

法律が変わったときと、難しい処理を実際に調べながらクリアしたときの二つを題材にすると書きやすくなります。わかりやすい言葉で書くことで、分かりやすく説明してくれる人という印象につながります。

無料相談は必ず載せたほうがいいですか?

必須ではありませんが、30分無料相談受付中のような案内は、問い合わせの最初のきっかけとして分かりやすい施策です。載せる場合は、時間・相談できる範囲・申し込み手段をあわせて明示しておくと迷われにくくなります。

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