この記事の要点
サイトを直しても問い合わせが増えないときは、まず問い合わせの受け皿が生きているかを確認します。そのうえで、ボタンの色を変えるようなABテストは問い合わせが月30〜50件ある場合の手法なので、月1件の段階なら問題点を全部書き出してまとめて直す。それでも動かないときに、サイトの外側を疑います。
公開日 2026-10-18
サイトを改善したのに問い合わせが増えません。次は何を見ればいいですか?
見る順番は3つです。まず問い合わせの受け皿が機能しているか、次に改善の進め方が今の問い合わせ件数に合っているか、最後にサイトの外側。細かい要素を一つずつ検証する前に、この3つを押さえたほうが手戻りが少なくて済みます。
アクセス解析(Googleアナリティクス)やヒートマップを見ながらボトルネックを探して直していく、という進め方そのものは有効です。表示速度、ファーストビュー、コンテンツ、動線、フォーム。サイトで直せることはたくさんあり、アイキャッチ一つで問い合わせ率が変わる感触もあります。ただ、ひととおりやり切ったあとに「それでも増えない」と止まることがあります。そこから先で私が見ている順番が、次の3つです。
| 順番 | 見るところ | 確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 問い合わせの受け皿 | フォームの送信が生きているか、受け口がメール以外にもあるか |
| 2 | 改善の進め方 | 今の問い合わせ件数で成立する手法を選べているか |
| 3 | サイトの外側 | アクセス数そのもの、来訪者と商品のズレ、信頼 |
受け皿の確認だけは先に済ませる
アクセスが十分あってサイトも改善したのに問い合わせが増えない、というとき、いちばん最初に疑うのはフォームがちゃんと生きているかどうかです。私は、ほとんどの場合は結局フォームや問い合わせの受け皿が機能していないところに原因があると考えています。送信テストは気づいたときにやるのではなく運用ルールにしてしまうのが確実で、手順は問い合わせフォームは月1回点検するに、フォームの作り方そのものの違いはメールフォーム自作と外部サービス埋め込みの違いにまとめています。受け口をメール以外(LINE公式アカウント、SNSのDM、電話番号)にも用意しておく話も、あわせてそちらで扱っています。
ここが確認できているなら、本記事の本題である「改善の進め方」に移ります。以降は、母数の条件と、まとめて直すときの手順が中心です。
ABテストはいつから意味を持ちますか?問い合わせが月1件でも有効ですか?
統計的な有意差が出るのは一般に30件ほどと言われています。これは私が実務で目安にしてきた伝聞の数字ですが、この水準を前提にすると、ボタンの色を変えるような小さなABテストは問い合わせが月30〜50件ある状態で初めて意味を持ちます。月1件の会社なら、まとめて直すほうが現実的です。
一時期、ボタンの色を変えるABテストが話題になり、実際に試したこともあります。ただ、AとB両方である程度のアクセスと成約がないと統計的に意味を持たないため、母数が少ない状態では結論が出ません。この30件の問い合わせを取ることが、どれだけ大変かという話でもあります。月に30件の問い合わせが来ている会社は、施策がかなりできている会社です。
| 状況 | 向いている進め方 |
|---|---|
| 問い合わせが月30〜50件ある | ABテストで個別要素を検証する |
| 問い合わせが月1件あるかどうか | 問題点を全部書き出し、まとめて直す |
| 問い合わせがそもそも発生していない | 場合によってはリニューアルまで含めて判断する |
相談をいただくサイトを見ると、問い合わせが月1件あるかどうか、あるいはそもそも発生していないという状態が多数派です。この段階で個別要素の検証に時間をかけても、判断材料が集まりません。母数が足りているかどうかだけは、はっきり線が引けるので、ここで進め方を分けます。
言い換えると、ABテストは「最後に残る手段」であって、最初に選ぶ手段ではありません。ほとんどの場合は改善箇所が多すぎて、ABテストをするところまで至らないというのが実際のところです。
ABテストができない段階では、どう改善を進めればいいですか?
アクセス解析を見て、問題だと思う箇所を全部書き出し、個別に検証せずまとめて変えます。相談を受けるサイトは問題が多すぎるケースのほうが多いので、気になった部分を一度に直すほうが大きく変わる可能性があります。実施前にバックアップを1回取っておきます。
一つずつ変えて効果を測る、という進め方は美しいのですが、母数が足りないと判定ができません。それなら、見つけた問題をまとめて直してしまったほうが早い。これが、問い合わせが少ない段階での現実的な解です。
進め方
- アクセス解析を見て、問題だと思う箇所を全部書き出す(ファーストビューでの離脱、ページに興味を持たれていない、次ページへ遷移していない、問い合わせ動線の不足、フォームの項目過多など)
- 書き出した問題点を個別に検証せず、まとめて変える
- 場合によってはリニューアルまで含めて判断する
- 変更前にバックアップを1回取ってから実施する
リニューアル後にトータルの問い合わせが減ってしまうと困るので、戻せる状態を作ってから変更するのが前提です。ここは順番を飛ばさず、必ずバックアップから入ります。
書き出す対象の例
- ファーストビューのキャッチコピーと画像が、来訪者の興味と合っているか
- ページが読まれず、次のページへ遷移していないか
- 問い合わせ動線がページの途中にも出ているか
- フォームの項目が多すぎないか
トップページの構成そのものから見直す段階に入っているなら、トップページだけをLPのように直すという手もあります。自社サイトが今どの段階にいるかを先に切り分けたい場合は、「見つかる」までの4段階で現在地を測るが目安になります。
何年も手を入れていないサイトは、改善とリニューアルのどちらを選ぶべきですか?
2、3年に1回リニューアルしているサイトは良い状態ですが、10年くらい放置しているケースも結構あります。スマートフォン対応がされていない、古い技術が使われている、フォームのセキュリティに不安がある。こうしたサイトは、部分改善よりも土台を作り直したほうが早い場合があります。
部分改善が効くのは、土台が今の環境に合っていることが前提です。土台が古いままだと、コピーを直しても動線を整えても、そもそも表示や送信のところで取りこぼしが出ます。
土台から見直したほうがいいサイン
- スマートフォンで見たときにレイアウトが崩れる、文字が小さい
- 古い技術で作られていて、部分的な修正が入れにくい
- 問い合わせフォームのセキュリティに不安がある
デザインをどこまで作り込むかの線引きはホームページのデザインはどこまで必要かで整理しています。土台を直すタイミングは、同時にコンテンツを足し直す好機でもあります。
サイトを直しても問い合わせが増えないとき、サイトの外側で何を疑えばいいですか?
アクセス数そのものが足りない、見つけられているキーワードがズレている、リアルでの動きが少なく注目されていない。この3つがまず挙がります。来訪者と商品のズレ、ニーズの欠如、信頼のマイナスという可能性もありますが、私はこれらをレアケースと捉えています。
動線設計がきれいにできていても、気づいていない欠けたコンテンツが一つあるだけで離脱は起きます。何かが欠けているから問い合わせにつながっていない、というケースは普通にあります。まずはそこを探し、それでも見当たらない場合に外側へ視野を移します。検索されている語とページの中身が合っているかは、サーチコンソールで確認できます。
外側にある3つの可能性(考え方として)
- 来訪者と商品のズレ:アクセスしているユーザーが、そもそも問い合わせにつながるユーザーではない。決裁権を持っていない人が来ている、広告のキャッチやビジュアルが商品内容と合っていないために違う層が来ている、といった状態です。
- ニーズがない:欲しいと思ってもらえていない。ただし、アクセスがしっかり来ていてニーズがないというのは、普通はなかなかありえません。
- 信頼がマイナスになっている:会社名で検索したときのサジェストにネガティブな語が入っていると、訪問者は疑いながら見ている状態になります。信頼がゼロからのスタートなら問題ありませんが、マイナスは重いです。
信頼がマイナスのときの対処
プレスリリースやニュース、専門のページを作って、きちんと説明する。自社に非がある場合はきちんと謝罪する。そこまで作っておくことが大事だと考えています。会社の説明が薄いまま放置するより、言うべきことを自社のサイトで言い切っておくほうが、検索した人に届きます。
ここで挙げた3つは、私はレアケースだと捉えています。考え方としては、まず受け皿が機能しているかという直接的な原因から確認し、外側を疑うのはそのあとで構いません。
結局、いちばん問い合わせを増やしたのは何でしたか?
デザインやエフェクト、ボタンの色や配置も効きますが、なんだかんだ一番問い合わせが増えた感触があったのは、カテゴリ設計をしっかり行い、コンテンツ一つひとつの品質を高めた状態で提供したときでした。一番大事なのは、何を言うかの部分です。
ファーストビューのアニメーション、コピーの出し方、動線、ボタン文言。どれも試してきて、効果があったものもあります。それでも振り返ると、最も問い合わせが増えた感触があったのは、どうカテゴリを設計し、どうコンテンツを書き、どう動線まで設計するかをトータルで作れたときでした。
情報が薄いサイトは、何が違うかが伝わらない
相談を受けるサイトで結構よく見かけるのが、最低限の情報しか載っておらず、他社と何が違うのか全然わからない状態です。ここに効くのは、理念・哲学・ミッション・ビジョン・バリュー・原体験・ストーリーといったコンテンツを足していくことです。この会社はどんな会社か、と聞かれたときに一発でわかるくらいのサイトを作る。それが結局いちばんいいと考えています。
読むのは人だけではなくなった
この会社はどんな会社か、とChatGPTに聞けば、全ページを一瞬で読んでくれます。コンテンツがまとまっていれば「こういう会社ですよ」と正しく伝えてくれるので、記事を発信しておくことは非常に有意義です。逆に情報が薄ければ、薄いまま要約されます。
何を書くかに迷ったら、自社の業務内容や対象顧客を言葉にするところからで十分です。書き方は業務内容の書き方やプロフィールの書き方にまとめています。依頼までの流れが見えない業種なら、依頼フローの書き方も合わせて整えると迷いが減ります。
改善の効果を、どこまでの範囲で見ればいいですか?
検索するきっかけ、サイト訪問、問い合わせ、商談、成約まで含めて見ます。最終的な目的は売り上げや利益を増やすことなので、その視点が欠けたまま進めると、サイトのここを直したからどうだ、という小さい話にまとまりがちです。
サイト側の改善だけを追いかけていると、数字が動かないときに打つ手がなくなります。問い合わせが発生したあとの初動まで含めて設計すると、同じ問い合わせ数でも成果が変わります。
問い合わせ後の初動
返信スピードは、一般に15分以内が理想と言われています。これも出典のある厳密な基準ではなく、業界で言われている目安として受け取っていますが、私自身は10分から15分くらいでレスポンスを返すようにしています。問い合わせを送った直後がいちばん熱が高く、そこから時間が経つほど温度は下がっていくからです。
熱が冷める時間を引き延ばす
私自身は普段あまりやらない方法ですが、フォームの自動返信メールにPDFや動画などの資料を仕込んでおくやり方があります。返信までの待ち時間に読むものがあれば、熱が冷めるまでの時間を少し引き延ばせます。
外部の営業担当とコミュニケーションを取りながら改善を進めるのも、同じ理由からです。サイト単体ではなく、検索のきっかけから成約までを一本の線として見ると、どこに手を入れるべきかの判断がしやすくなります。
なお、本記事で触れた「30件」「15分以内」はいずれも一般に言われている目安です。また、解析ツールの仕様や推奨設定は変わるため、計測の設定を変える際は各ツールの最新の公式情報で確認してください。
よくある質問
ABテストは、どのくらいの問い合わせ数から意味がありますか?
統計的な有意差が出るのは一般に30件ほどと言われているため、問い合わせが月30〜50件ある状態が目安です。月1件あるかどうかの段階では、問題点を全部書き出してまとめて直すほうが現実的で、変化も大きくなります。
リニューアルで問い合わせが減るのが怖いのですが、どうすればいいですか?
必ずバックアップを1回取ってから実施します。トータルで問い合わせが減ってしまうと困るので、戻せる状態を作ってから変更するのが前提です。戻せる状態さえあれば、まとめて大きく直す判断もしやすくなります。
問い合わせの受け皿は、メールフォームだけで足りますか?
メールを日常的に使わない層がいるため、LINE公式アカウント、SNSのDM、電話番号といった受け口も用意しておくと取りこぼしが減ります。電話番号を載せると営業電話が増えるデメリットはあるので、「営業の電話やメールはお断りします」と明記するのも一つの手です。
何年くらいでリニューアルを考えるべきですか?
2、3年に1回リニューアルしているサイトは良い状態です。10年ほど手を入れていないケースも結構あり、その場合はスマートフォン未対応、古い技術、フォームのセキュリティといった土台の問題が出やすいので、部分改善より作り直しのほうが早いことがあります。
問い合わせへの返信は、どれくらいの速さが目安ですか?
一般には15分以内が理想と言われています。私は10分から15分くらいで返すようにしています。すぐ返せない時間帯に備えて、自動返信メールにPDFや動画の資料を仕込んでおくと、返信までの熱が冷める時間を少し引き延ばせます。
参考・出典
- Google アナリティクス ヘルプ(記事内で触れたアクセス解析ツール。仕様は変わるため最新の公式情報で確認してください)(2026年9月時点)
- Google Search Console(記事内で触れた検索キーワード確認ツール。仕様は変わるため最新の公式情報で確認してください)(2026年9月時点)
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